2022.08.26
派遣社員評価
派遣会社派遣社員派遣管理業務
「言われた仕事ができない」「勤務態度が悪い」など、派遣社員の働きの悪さに耐え切れず、派遣会社に対してクレームを入れたくなることもありますよね。
しかし、クレームを入れる前にいったん立ち止まって確認しなければ、会社側が罰則を受けるような事態に発展するかもしれません。いったい何を見なければならないのでしょうか?
今回の記事では、派遣社員のクレームに適したタイミングやクレーム前に確認したいポイント、満足いく人材を確保する方法を解説します。派遣社員は法で守られた他社の社員です。トラブルには細心の注意を払いましょう!
目次
1.派遣社員のクレームや処分は確認後がいい理由
2.派遣会社にクレームを出す前に見るべきポイント
業務内容が契約内容と合っているか
職場環境に問題はないか
労働基準法・労働者派遣法に則っているか
賠償問題は派遣会社との契約内容を先に確認
3.派遣会社にクレームを入れるべき事例
4.クレームにならない人材を確保する方法
派遣会社へ求める人材を具体的に伝える
顔合わせで人材を見極める
派遣の予算をできるだけ上げる
研修体制や職場環境を充実させる
5.まとめ
1.派遣社員のクレームや処分は確認後がいい理由
派遣社員に明らかに良くない勤務態度やスキル不足、大きな損失を生むミスがあった場合、派遣受け入れ企業は派遣会社へクレームを入れることができます。ただし、その前に現状を確認する作業が必要です。
なぜならトラブルの原因が職場環境や契約内容にある可能性も考えなくてはいけないからです。
例えば、「派遣社員の遅刻が多い」というクレームなら、契約している就業時間は何時から何時までなのか、労働基準法を超える残業はないかを明確にしておくといったことです。
もし、契約内容と違う就業時間や業務を強いている、法令を超える時間外労働をさせている実態があれば、派遣社員が従う必要はなく、指導や罰則を受けるのは受け入れ企業側です。派遣会社にきちんと説明するためにも、職場側に問題はないか事前に調査しましょう。
また、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでおり、自社の就業規則に基づく罰則は与えられません。規則違反はその都度注意指導したのち派遣会社に報告して、必要に応じて指導や教育をしてもらう流れになります。
2.派遣会社にクレームを出す前に見るべきポイント
では 派遣会社にクレームを入れる前に確認しておくべきポイントを具体的に解説していきます。
業務内容が契約内容と合っているか
与えていた業務が契約内容と合っているか確認しましょう。スキル不足を感じる場合は募集時に示された業務内容とのズレ、社内ルールが守れていない場合は就業規則の記載漏れが背景にあるケースも珍しくありません。
募集要項の行き違いや研修の実施の有無など原因になり得るものを詳しく精査してみましょう。
職場環境に問題はないか
派遣社員に良い働きを求めるのなら十分に能力を発揮できる環境でなければいけません。職場側に問題があれば、派遣社員を交代しても同じ結果になるでしょう。
教育環境が整ってなければスキル不足になるのは否めず、指揮系統が混乱していれば業務効率も意欲も下がってしまいます。次のような問題が職場にないか確認し、改善に動くことが大切です。
<派遣まわりでよくある職場問題>
- 十分な教育環境がない
- 指揮系統が統一されていない
- 残業や休日出勤が常態化している
- 差別やハラスメントなどで人間関係が悪い
労働基準法・労働者派遣法に則っているか
派遣社員に法令基準を超える環境で就業させていた、認められていない業務をさせていた場合は、クレームを受けるのは受け入れ企業側です。スタッフの扱いや未報告の業務は派遣会社との信頼にも関わります。指示を出していたとしても現場の実情確認は必須です。
賠償問題は派遣会社との契約内容を先に確認
派遣社員のミスで賠償問題になる場合は契約内容をまず確認しましょう。派遣社員によって生じた損害は派遣会社に賠償請求するのが一般的なルールですが、契約内容によっては賠償金額に上限が定められていることがあります。
また、受け入れ企業の指示によって起こった損失の賠償は過失相殺で減額やゼロになるケースが多いので、経緯まで綿密に調査するのがおすすめです。
3.派遣会社にクレームを入れるべき事例
慎重さが求められる派遣会社へのクレームですが、以下のような事例では交替要請や賠償請求をするのが適切でしょう。
- 明らかなスキル不足
- 欠勤や離席が異常に多い
- 指示に従わない、指示以外のことを自己判断で行う
- ミスが多すぎる
- 複数回注意しても改善が見られない
- ミ職場の雰囲気を悪くする行いがある
- 派遣社員による不正や損害が発生した
職場に問題が隠れている疑いがあれば事前確認が必要ですが、明らかに派遣社員本人に問題がある場合は、派遣会社にクレームを入れて対応を促しましょう。
ただし、正当な理由で派遣社員の交替を求めても、すぐに新たな派遣社員にきてもらえるとは限りません。
このように「派遣なんだから交替すればいい」とは簡単に言えないのが実状。クレームにならない人材をはじめから確保することが最も大切なのです。
4.クレームにならない人材を確保する方法
クレームにならないような人材にきてもらうには、どうすればいいのでしょうか。派遣社員の募集でミスマッチを避けるためのポイントをご紹介します。
派遣会社へ求める人材を具体的に伝える
募集時は必ず派遣会社とのヒアリングを行い、求めている人材を具体的に伝えるのが一番重要なポイントです。
必要なスキルや就業時間、条件など詳細をすり合わせてミスマッチを防ぎましょう。
受け入れ側で選考はできないので、思い描く人材を確保できるかどうかはヒアリングの丁寧さで決まると言っても過言ではありません。
顔合わせで人材を見極める
職場見学や顔合わせは派遣社員の人柄を見定めるチャンスです。
こんな点を注目するといいでしょう。
- ビジネスマナーがきちんとしているか
- 具体的な志望動機があるか
- 仕事への熱意が見られるか
顔合わせ時は派遣社員と派遣会社の担当者の三者で話すことになります。その会話の中で身だしなみ、態度、スキルなど業務遂行の能力に問題があれば、派遣会社側も気が付くはずです。ただし、顔合わせは選考・面接の場ではないことを覚えておきましょう。
派遣の予算をできるだけ上げる
条件の悪い職場に優秀な人材は集まらないので、良い人材が欲しいならそれなりの予算を割く覚悟を持ちましょう。
また、急いで人材を確保したい場合や条件が悪く応募状況が伸びない場合も、相場より高い給与を求められることがあるので余裕をみておくと安心です。
研修体制や職場環境を充実させる
派遣社員の研修制度や職場環境を整えることも大切です。即戦力となる人材が多いのが派遣のメリットですが、初めての環境ですぐに能力を発揮できる人はあまりいません。引継ぎや研修体制を充実させることでスキル不足が起こるリスクを軽減できるでしょう。
また快適に働ける職場環境も重要なポイントです。今はネットやSNSですぐに評判が露見するので、劣悪な環境は今後の採用活動にも関わりかねません。
5.まとめ
派遣社員の勤務態度やスキルについて派遣会社へクレームを入れる際は、まず実際の業務内容が募集時の条件と相違していないか、労働環境に問題がないかを確認しましょう。
派遣社員は法で守られた他社の社員です。よく調べずに自社で処分をしてしまうと受け入れ側が罰則を受けることにもなりかねません。明らかに本人に問題がある場合は派遣会社にクレームを入れて対応を任せましょう。
派遣はすぐに新たな人材に交替できるとは限りません。そのため受け入れの時点でニーズに合った人材を入れることが何より大切です。派遣会社とのヒアリングや顔合わせを丁寧に行い、募集予算に余裕をもって良い人材の確保に努めましょう。