2022.10.30
派遣社員評価
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派遣社員を受け入れていると、社内環境の変化や人員整理、勤務態度などさまざまな事情で人材派遣の活用をやめる必要に迫られるかもしれません。
しかし、派遣社員は自社の社員ではないため、受け入れをやめる際には労働者派遣法に則った慎重な手続きが求められます。適切な方法で、派遣受け入れを終了するにはどうすればいいのでしょうか。
そこで今回は、派遣社員を解雇できるのか、派遣社員の受け入れをやめる際に知っておくべき注意点、途中解約できる条件について解説します。
目次
1. 派遣社員を解雇できるのは派遣会社のみ
2. 派遣受入をやめるには2つの方法がある
3. 途中解約できる3つの条件
派遣会社の合意を得た場合
派遣社員に問題がある場合
会社に倒産のリスクがある場合
4. 途中解約の前には派遣会社と話し合いを
5. まとめ
1. 派遣社員を解雇できるのは派遣会社のみ
派遣受け入れ企業は派遣社員を解雇できません。
派遣受け入れ企業は、派遣会社と「労働者派遣契約」を結んでいるにすぎず、派遣社員とは直接雇用関係にはないからです。解雇できるのは派遣社員と直接雇用契約を結んでいる派遣会社だけということになります。
そのため派遣の受け入れをやめたいときは、直接派遣社員に「解雇」を告げるのではなく、派遣会社との「労働者派遣契約の終了」を行なう必要があります。
2. 派遣受入をやめるには2つの方法がある
労働者派遣契約を終了し、派遣受け入れをやめる方法は2つあります。
- 契約更新の拒否
- 途中解約
契約期間を満了したうえで契約更新を拒否することは法律的に何も問題なく、派遣受け入れを終えるスムーズな方法といえるでしょう。ただし契約更新をしない場合は、契約期間満了の30日前までにその旨を通告する義務があります。
また、労働者派遣契約の途中解約は原則としてできませんが、一定の条件を満たす場合は例外的に認められます。次章以降では途中解約するケースについて詳しく解説していきます。
3. 途中解約できる3つの条件
派遣会社との労働者派遣契約を途中解約するには、以下の3つの内いずれかを、満たす必要があります。
派遣会社の合意を得た場合
派遣会社の合意があれば、労働者派遣契約で定められた手順に沿って途中解約の手続きを進められます。
ただし派遣社員の雇用に影響することなので、合意があったとしても相応の猶予期間を設けなければいけません。契約解除までの期間が短いと、派遣会社が派遣社員に支払う給料などの損害賠償が発生するケースもあります。
派遣社員に問題がある場合
明らかに派遣社員に問題がある場合は、労働者派遣契約で定められた途中解約の条項に従って解約が可能です。
これは「悪意をもって内部情報の漏洩をした」など疑いようのない問題行為をした場合に限られます。業務上のスキル不足といった理由では認められる可能性が低いでしょう。
会社に倒産のリスクがある場合
会社に倒産のリスクがある場合はやむを得ない事情として労働者派遣契約を途中解約できます。これには倒産の危機に瀕していることが客観的にみてもわかるように説明できる必要があるでしょう。
また、経費削減や融資の相談など再建にむけた努力を最大限した上で、解雇による人員整理が不可欠な状況でないといけません。
4. 途中解約の前には派遣会社と話し合いを
いきなり労働者派遣契約を途中解約をするのはやめましょう。トラブルを防ぐためにもまずは派遣会社と話し合うことが大切です。
労働者派遣契約を途中解約すると、派遣社員に賃金が未払いになる、新たな就業先を探す必要が生じるなどの問題が発生します。こういった事態を防ぐために、派遣受け入れ企業が派遣社員の新たな就業機会の確保や休業手当などの費用負担が義務付けられています。
手続きを円滑に進めるには、事前の話し合いが欠かせません。今後も派遣会社と良い関係を保つためにも、労働者派遣契約を途中解約する前にきちんと話す機会を設けるようにしましょう。
5. まとめ
派遣受け入れ企業は派遣社員を直接解雇できないため、派遣の受け入れをやめたい場合は派遣会社との労働者派遣契約を解除する必要があります。
契約期間満了のタイミングであれば、30日前までの通知で契約の終了が可能です。途中解約は原則できませんが、以下に当てはまる場合は認められるケースがあるでしょう。
- 派遣会社の合意を得た場合
- 派遣社員に問題がある場合
- 会社に倒産のリスクがある場合
ただし、途中解約する際には派遣社員の新たな就業機会の確保や休業手当などの費用負担が義務付けられており、場合によっては損害賠償が生じる可能性があります。今後も派遣会社と良い関係を保つためにも事前にしっかりと話し合うようにしましょう。