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【派遣先企業】派遣社員の労務管理ですべき4つのこと

2022.02.15 人事・労務

派遣受け入れ企業(派遣先企業)と派遣社員の間に直接の雇用関係はありませんが、指揮命令者として受け入れ企業にも労務管理の義務が発生します。
そのため、人事担当者は派遣受け入れ企業が労務管理で何をすべきなのかを明確に把握し、あらかじめ準備しておくことが求められます。
今回は、派遣先である派遣受け入れ企業が行うべき派遣社員の労務管理にはどのようなものがあるのかを、注意点も含めて紹介します。

目次

1.派遣受け入れ企業が行うべき派遣社員の労務管理

派遣社員の労務管理は、一部派遣受け入れ企業が行わなければいけません。
人材派遣は、派遣受け入れ企業と派遣会社、派遣社員の三者によって成り立つ仕組みです。派遣社員は派遣受け入れ企業で就業しますが、雇用契約は派遣会社と結んでいます。
基本的には、派遣社員の雇用主である派遣会社が労務管理の責任を負いますが、実際に労働の現場で指揮命令を行うのは派遣受け入れ企業です。そのため、一部の労務管理については、派遣受け入れ企業が行う必要があります。
派遣受け入れ企業が派遣社員に対して行う労務管理は、主に以下の4つです。

  • ・労働時間の把握
  • ・労働者派遣契約と勤務状況の確認
  • ・ハラスメント・苦情対応
  • ・安全衛生の確保

それぞれどのような内容か、次章から1つずつ順番に解説していきます。

2.労働時間の把握【労務管理1】

派遣社員に関する労働基準法上の労働時間を管理する責任は、派遣受け入れ企業が負います。派遣受け入れ企業は、労働日ごとの始業・終業時刻や休憩時間、遅刻・早退を確認・記録しなければなりません。
これは原則として、
①使用者が自ら現認する
②タイムカードなどの客観的な記録を基礎とし、確認・記録する
ことが求められます。
業務上の理由などにより自己申告制になる場合には、派遣社員に十分な説明を行い、自己申告した労働時間が実際の労働時間と合致しているか必要に応じて調査します。
なお、就業日ごとの始業・終業時刻などは、派遣先管理台帳に記録して派遣会社に提出しなければなりません。時間外労働や休日労働も管理項目のひとつですが、実際に労働を指示する際には、派遣会社の36協定が適用されるため注意が必要です。

3.労働者派遣契約に違反した勤務内容になっていないか【労務管理2】

派遣社員の勤務状況が派遣会社と締結した労働者派遣契約に則した内容になっているかの確認も求められます。もし契約内容と異なる働き方をしていれば、派遣法違反になるため注意しましょう。
派遣社員の就業状況は、定期的に就業場所を巡回して確認することも必要です。

4.ハラスメント・苦情対応【労務管理3】

パワハラやセクハラなどのハラスメントも、実際の労働現場で起きるものです。そのため、派遣受け入れ企業は自社の社員に対するのと同様に、派遣社員に対しても職場における各種ハラスメント防止を図る義務があります。
例えば、ハラスメントに関する講習会の開催や、相談窓口の設置といった防止対策が有効です。
さらに派遣社員の就業時には、苦情処理体制についてもあらかじめ説明しておかなければなりません。派遣社員から苦情を受けた場合には、派遣先管理台帳に記載したうえで、速やかに解決を図ると同時に派遣会社に連絡する必要があります。

5.安全衛生の確保・健康診断【労務管理4】

派遣受け入れ企業は、派遣労働者を受け入れるに際し、安全衛生教育や一般健康診断の実施など、労働安全衛生法に沿った措置を講じることも求められます。具体的にすべきことは、以下の3点です。

安全衛生管理体制の確立

総括安全衛生管理者や産業医などを選任し、十分な安全衛生管理体制を確立しましょう。安全衛生委員会を設置し、派遣社員の健康を守ることも求められます。
なお、総括安全衛生管理者などが必要となる労働者の数は、業種と事業場の規模によって異なります。例えば、製造業において50人以上の事業場では安全管理者を、300人以上の事業所では統括安全衛生管理者の選任が必要です。自社の労働者数や必要な対象人数についてもあらかじめ調べておきましょう。

危険作業への対応

派遣労働者は、常時その仕事に従事している正社員と比較すると、業務の経験年数が短く、労働災害発生率が相対的に高いとされています。危険有害業務に従事させる際には、派遣労働者の安全を確保するため、以下のような対応が求められます。

  • ・機械等の安全装置の設置や保護具の支給
  • ・有害性・危険性調査およびリスク低減措置の実施
  • ・安全衛生教育の実施
  • ・資格やスキルの確認
  • ・特別教育の実施
  • ・マニュアル作成

なお、特別教育を実施した場合には、その結果を派遣会社に書面などで報告する必要があります。

健康診断とストレスチェックの実施

派遣労働者に対しては、一般健康診断はもちろん、一定の有害業務※に常時従事する場合には、特殊健康診断を定期的に実施することが求められます。特殊健康診断の結果については、派遣会社へ写しの送付が必要です。
※一定の有害業務
①高圧室内又は潜水の作業に係る業務
②放射線業務
③特定化学物質の製造又は取扱い業務
④鉛業務
⑤四アルキル鉛業務
⑥屋内作業場、タンク等の内部等における有機溶剤の製造又は取扱い業務
⑦粉じん作業
なお、派遣労働者も対象にストレスチェックを実施し、結果に基づく措置を講じるのが望ましいとされています。

6.注意点:派遣元と適切な連絡調整をとる

派遣労働者の労務管理に関しては、派遣受け入れ企業と派遣会社で責任が分かれます。そのため役割分担や連絡が適切にされていなければ、賃金支払いや安全衛生教育などに問題が発生することも考えられます。
例えば、派遣社員に特別教育が必要な一定の危険業務に従事させる予定の場合には、派遣社員が必要な資格を有しているか、事前の確認が必要です。連絡調整が不十分となり、無資格者が危険な業務を行う事態にならないよう、密な連絡体制を築いておきましょう。

7.まとめ

派遣労働者と直接契約を交わすのは派遣会社ですが、現場で指揮命令を行うのは派遣受け入れ企業である以上、受け入れ側にも一部の労務管理を行う義務が発生します。
派遣受け入れ企業が行う労務管理には、労働時間の把握や契約に違反した勤務内容となっていないかの確認、ハラスメント・苦情対応などが含まれます。派遣労働者の安全衛生を確保し、健康診断やストレスチェックを実施することも必要です。
派遣労働者の労務管理は派遣会社と派遣受け入れ企業の双方が分担して行うため、連絡調整が不十分だとトラブルが発生する可能性があります。派遣労働者を受け入れることになったときには、人事担当者として派遣会社の担当者と密な連絡体制を築き、派遣労働者が働きやすい環境を提供できるよう努力しましょう。

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