2022.09.30
派遣社員採用・契約,派遣社員評価
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派遣社員の受け入れに際し、きちんと把握しておきたいのが福利厚生に関する情報です。雇用主である派遣会社が負担するのか、受入先である自社が負担するのかわからず困っているかもしれません。
実際に派遣社員の福利厚生はだれが負担するのでしょうか?また、自社で提供しないとどのようなデメリットが生じるのでしょうか?
今回は派遣社員の福利厚生について解説します。負担する義務があるのはどちらか、福利厚生の運用をスムーズに行うにはどうしたらいいのかみてみましょう。
目次
1.派遣社員の福利厚生を負担するのは派遣受入企業?派遣会社?
2.派遣社員に正社員と同一の福利厚生を提供しないデメリット
会社の社会的地位が下がる危険性がある
優秀な人材が雇えなくなる
生産性が低下する
3.派遣社員の福利厚生の運用を円滑にするポイント
派遣会社の福利厚生を把握する
福利厚生の説明を徹底する
4.まとめ
1. 派遣社員の福利厚生を負担するのは派遣受入企業?派遣会社?
派遣社員の福利厚生はだれが負担するのでしょうか。「法定福利厚生」は派遣会社、「法定外福利厚生」は派遣受け入れ企業が負担する必要があります。
「法定福利厚生」は名前の通り法律が定めるもので、主に社会保険・労働保険を指し、健康保険や厚生年金、雇用保険が含まれます。
一方、「法定外福利厚生」とは働きやすい環境を提供するため企業が独自に定めるもので、食堂の設置や住宅手当、子育て支援など多岐に及びます。
これまで法定外福利の提供は「配慮義務」とされ、運用が疎かにされるケースもありました。
しかし、2020年4月に施行された「同一労働同一賃金制」により、正社員と派遣社員に不合理な待遇差を付けることは禁止されたため、交通費や家賃補助、食堂、休憩室などの福利厚生・施設を派遣社員も利用できるようにしなければいけません。
理髪室や保養施設といった一部の福利厚生施設の利用機会付与は配慮義務のままですが、派遣社員と正社員に同じ福利厚生を提供しないとさまざまなデメリットが生じます。そのため派遣社員への福利厚生はきちんと整える必要があるでしょう。
2.派遣社員に正社員と同一の福利厚生を提供しないデメリット
派遣社員に福利厚生を提供しないと以下のようなデメリットがあります。
会社の社会的地位が下がる危険性がある
派遣社員と正社員で待遇差を付けると労働者派遣法違反となり、企業の社会的地位に影響が及ぶかもしれません。主に罰則を受けるのは派遣会社ですが、派遣受け入れ企業にも勧告、企業名の公表などの措置が取られる可能性があるでしょう。
また、法的措置が取られなくてもSNSで悪い評判が広まり、企業イメージに傷が付いてしまうことも考えられます。
優秀な人材が雇えなくなる
待遇を区別していると人材が集まりにくくなり、優秀な派遣社員を確保できなくなります。
派遣会社はスキルの高い人材ほど好待遇の企業へ派遣する傾向にあるので、待遇が悪いと優秀な人材が派遣されなくなるかもしれません。改善せずにいると派遣会社からの評価が下がり、人材派遣を断られる可能性もあるでしょう。
生産性が低下する
同じ職場内で福利厚生が異なると、派遣社員のモチベーションの低下、社内コミュニケーションの減少に繋がります。待遇差は正社員との壁を厚くし、派遣社員の疎外感を招く一因です。
チームワークが崩れ、コミュニケーション不足によりスムーズな業務進行が妨げられるため、社内全体の生産性にも悪影響を与える恐れがあります。
3.派遣社員の福利厚生の運用を円滑にするポイント
派遣社員に法定福利厚生と法定外福利厚生どちらも円滑に提供できるように環境を整える必要があります。以下の2つのポイントをおさえておきましょう。
派遣会社の福利厚生を把握する
派遣会社に確認してどのような福利厚生制度があるのかを把握しておきましょう。派遣会社の提供する福利厚生は、基本的に自社で使用できるようにする必要があります。
特に休暇制度など利用に際し配慮が必要なものもあるので、事前に確認してどう対応するか考えておくといいでしょう。
福利厚生の説明を徹底する
入社時に派遣社員に福利厚生の内容をきちんと説明しておきましょう。人によっては派遣会社の福利厚生しか利用できないと思っている人もいるため、派遣社員でも自社の福利厚生を使えることを伝えます。
形だけにならないよう、実際の申請の仕方や社内でのルールを伝えてあげると親切です。
4.まとめ
社会保険や労働保険などの法定福利厚生は雇用主である派遣会社が負担するものですが、食堂や特別休暇など企業独自の法定外福利厚生は派遣受け入れ企業が提供する必要があります。
同一労働同一賃金により不合理な待遇差は禁止されているため、正社員と同じ福利厚生を提供しないと派遣労働法違反になってしまうかもしれません。会社の評判を損ねるだけでなく、スタッフのモチベーションが下がり社内の雰囲気が悪くなる可能性もあるでしょう。
派遣会社が提供する福利厚生が使用できるように配慮し、自社の福利厚生について説明することで派遣社員が利用しやすい環境を整えることが大切です。