2022.09.30
派遣社員採用・契約,派遣社員評価
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派遣社員を受け入れていると優秀な社員を直接雇用し、自社で働いてもらいたいと思うことがあるかもしれません。派遣社員から求人の予定はないかと聞かれるケースもみられるでしょう。
しかし、派遣会社からスタッフを引き抜くような形になるため、思わぬトラブルに発展してしまう危険性があります。派遣社員を自社の社員として雇用するのは派遣契約に違反するのでしょうか?
そこで派遣社員を直接雇用することは法的に問題があるか、派遣社員を雇用したいときに確認するべき点や注意点、必要な手続きについて解説します。
目次
1. 派遣社員を直接雇用しても大丈夫?
派遣社員を直接雇用することは可能なのでしょうか。ここでは3つの派遣形態に分けて解説します。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは直接雇用を前提とした派遣方法なので、派遣社員を直接雇用するのは何の問題もありません。
最長6ヵ月の派遣期間を定めたうえで、自社と派遣社員の同意があれば派遣期間終了後に雇用契約が結べます。派遣期間中であっても派遣会社と派遣社員が同意すれば直接雇用に切り替えることが可能です。ただし、切り替え時は派遣費用に加えて紹介手数料が必要となります。
登録型派遣
登録型派遣は派遣会社と派遣社員が派遣期間中だけ雇用契約を結ぶ仕組みです。派遣期間の終了と共に雇用契約も終わるため、派遣社員はフリーになります。そのため、派遣期間終了後にスタッフを直接雇用することに法的な問題はありません。
この場合、派遣会社から紹介料を請求される可能性もあります。法的に紹介料を支払う義務は無いですが、派遣会社との今後の関係にも影響するため慎重に話し合う必要があるでしょう。
この先も長く付き合うなら、同じような事態が発生した場合どうするかルールを決めておくといいかもしれません。
常用型派遣
常用型派遣は派遣会社が常時雇用している社員が派遣される仕組みです。登録型派遣とは違い、自社による受け入れ期間が過ぎても派遣会社と派遣社員の雇用契約は継続しています。直接雇用したい場合は、まず派遣会社を退職してもらってから転職という形で迎え入れなければいけません。
雇用契約終了後の「転職」なので法律的には問題ありませんが、あとは商道徳の問題です。派遣会社の戦力として活躍していた人材なので、派遣会社にとっては痛手になるかもしれません。後々トラブルになるのを防ぐためにも、前もって話を通しておく方がいいでしょう。
2.派遣社員を直接雇用する際に必要な手続き
派遣社員を直接雇用に切り替える際はさまざまな手続きが必要です。雇用契約に加えて、保険や税に関する手続きも新たに行うことになります。
具体的には以下のようなものがあげられます。
- 法定三帳簿の作成
- 社会保険の手続き
- 雇用保険の手続き
- 税金に関する手続き
基本的には中途採用の手続きと同じで、法廷三帳簿として「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」を作成します。保険の届け出にはそれぞれ期限があり、健康保険と厚生年金保険は雇用開始から5日以内、雇用保険は採用した月の翌月10日までです。
税金の手続きは、派遣会社で雇用されていた期間の源泉徴収票を受け取り年末調整に反映させる必要があるでしょう。
3.派遣社員を直接雇用すると助成金がもらえるかも!
派遣社員を直接雇用すると、「キャリアアップ助成金」が受給できるケースがあります。キャリアアップ助成金とは、非正規労働者に対して正社員への切り替えや待遇改善をした事業主に助成金が支給される取り組みです。
派遣社員の雇用によってキャリアアップ助成金が適用された場合、1人当たり最大108万円の助成金がもらえます。ただし助成金を受給するには、対象となる条件を満たしたうえ、キャリアアップ計画書を提出・受理されていなければいけません。
助成金の受給を検討しているなら事前に厚生労働省のサイトにて詳細を確認しましょう。
4.まとめ
派遣社員の直接雇用は、派遣形態によって事情が異なります。紹介予定派遣の場合、直接雇用を前提とした形態なので紹介手数料の支払いのみで問題なく行えるでしょう。
しかし、登録型派遣と常用型派遣の場合、派遣会社との雇用契約が終了してからスタッフの雇用を開始する必要があります。契約期間終了後であれば法的に問題はありませんが、派遣会社から紹介手数料を請求される可能性も。
今後の派遣会社との関係を考えて慎重に話し合い、事前に相談したりルールを決めたりするなど配慮を示しましょう。