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派遣先の禁止事項に要注意!法を守って正しく人材派遣を活用しよう

2022.03.17 労働者派遣法

人材不足が続く中で人材派遣を利用する企業は増えています。しかし、改正が続く労働者派遣法を正しく理解している人事担当者は少ないのではないでしょうか?
派遣労働者には法に定められた禁止事項があり、派遣受け入れ企業(派遣先)はそれを遵守しなければなりません。法令違反があれば、契約締結ができないだけではなく罰則を受ける可能性もあります。
今回は、派遣労働者を迎えるにあたって最低限知っておきたい「派遣の禁止事項」を3つに分けて解説します。派遣受け入れを検討する前にご確認ください。

  • ・受け入れ決定前の禁止事項
  • ・業務内容に関する禁止事項
  • ・受け入れ中の禁止事項

目次

事前面接の実施
個人情報の収集

派遣契約に記載のない業務の指示
適用除外業務の指示

3年超の受け入れ
日雇い派遣の受け入れ
多重派遣
妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い

1.受け入れ決定前の禁止事項

派遣労働者と派遣受け入れ企業は雇用関係にあたらないため、受け入れ判断のための事前面接や個人情報の収集は禁止されています。詳しくみていきましょう。

事前面接の実施

派遣される社員がどんな人物か確認したくなるのは当然ですが、以下の2点を押さえておきましょう。

  • ・派遣受け入れ企業による事前面接は禁止されている
  • ・派遣受け入れ企業の意向で派遣中止はできない

2020年に派遣会社カタログが派遣社員に行った調査によると、就業前に行われる「職場見学」に参加したことがある人は約2割。その中には半強制・強制的な参加も見られ、そのうち38%が職場見学という名の面接があったと答えています。
基本的に職場見学は違法ではありません。ただし、「派遣予定の労働者が勤めるのに適当か自身で判断するために派遣労働者の希望で行う」ことが前提です。派遣受け入れ企業側から職場見学の実施を求めてはいけないのです。
また、派遣社員から職場見学を依頼された場合でも、事前面接行為があったとみなされると、告発などでトラブルに発展する可能性もあるため注意しましょう。

個人情報の収集

派遣受け入れ企業が受け入れ予定の派遣社員を特定する行為も禁止です。
派遣会社が派遣受け入れ企業に派遣社員のスキルシートを開示することは適法ですが、派遣受け入れ企業が派遣社員の履歴書を求めることは違法になります。また、職場見学時に氏名や居住地、家族情報などの個人情報を質問するのもいけません。
ただし、派遣期間後に派遣受け入れ企業と直接雇用契約を結ぶ前提の紹介予定派遣を利用する場合は、事前面接や履歴書の提出を求めても良いとされています。
先ほどの派遣会社カタログの調査によると、職場見学で個人特定行為を見たと回答した人は36.3%にも及んでいます。禁止事項を把握し、常に告発の危険があることも念頭に置いておきましょう。

2.業務内容に関する禁止事項

派遣受け入れ企業が派遣社員に指示できない禁止事項があります。「派遣契約に記載のない業務の指示」「適用除外業務の指示」などがそれに当たります。一つずつ確認しましょう。

派遣契約に記載のない業務の指示

派遣社員は派遣契約を結ぶ際に、行う業務内容を細かく取り決めています。契約事項に記載のない業務を派遣社員に指示することはできません。
例えば、派遣社員の業務内容がデータ入力とされている場合、顧客対応の指示は契約違反に当たります。そのため、依頼するかもしれない業務については、すべて契約書に記載しておくことが大切です。
また、契約書に記載のない残業、勤務時間の変更、出張、飲み会や接待なども禁止されており、参加の強制もできません。残業や勤務時間の変更が発生する可能性がある場合には、契約書に明記しておきましょう。

適用除外業務の指示

労働者派遣法では、派遣社員が行ってはいけない「適用除外業務」があります。具体的には以下の業務が該当します。

  • ・港湾運送業務
  • ・建設業務
  • ・警備業務
  • ・病院
  • ・診療所等における医療関連業務

ただし、依頼する業務が適用除外業務に該当するかの線引きは非常に難しいものです。判断に迷うときは、派遣会社もしくは必要に応じて都道府県労働局に相談しましょう。

3.受け入れ中の禁止事項

派遣社員の受け入れ中に注意したい禁止事項は、以下の4点です。順を追って解説します。

  • ・3年超の受け入れ
  • ・日雇い派遣の受け入れ
  • ・多重派遣
  • ・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い

3年超の受け入れ

2015年の労働者派遣法の改正で同一事業所の派遣受け入れ可能期間を原則3年とする「3年ルール」が施行されました。初めて派遣を受け入れた日から換算して3年間となる翌日を抵触日とし、その日以降の勤務は違法となります。
派遣受け入れ期間は個人単位・事業所単位の2種類がありますが、どちらにおいても3年を超えての受け入れは禁止されています。

日雇い派遣の受け入れ

2012年の労働者派遣法改正により日雇い派遣の受け入れも禁止されています。日雇い派遣とは、「30日以内」あるいは「週20時間未満」の労働契約のことです。
これにともない、雇用期間が31日以上かつ週20時間の労働時間を超える場合でないと、派遣は受け入れられません。
ただし、ソフトウェア開発や、機械設計などの例外業務を依頼する場合や、60歳以上の人、雇用保険の適用を受けない学生などの例外属性を満たす場合は、受け入れが可能です。

多重派遣

労働者派遣法では、以下のような多重派遣も禁止しています。

  • ・受け入れた派遣社員を子会社に派遣する(二重派遣)
  • ・2つの派遣会社が介する(三重派遣)

多重派遣は、雇用関係や責任の所在が曖昧になり、派遣社員の給与が不当に下がる原因になるため禁止されています。
なお、派遣受け入れ企業A社の指揮命令のもと、業務委託契約しているB社で就労させるのは問題ありません。ただし、あくまで派遣労働者に対する指揮命令を、A社が行っている場合に限られます。派遣労働者が就労の場であるB社の指示を受けて働く場合は、二重派遣に該当するので注意しましょう。

妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い

派遣労働者にも、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法が適用されます。そのため、派遣社員の妊娠・出産、育児休業などの申出や取得などを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。
例えば、派遣社員が育児休業を申し出たことを理由に交代を求めたり、契約更新を取りやめたりすることはできません。

4.派遣先が禁止事項を行い法令違反と判断されたらどうなる?

派遣受け入れ企業が労働者派遣法に違反していると行政に判断されてしまった場合、派遣受け入れ企業には以下のようなリスクがあります。

  • ・行政により「指導・助言」「改善命令・事業停止命令」「勧告・公表」「許可の取り消し」などが行われる
  • ・「勧告・公表」の対象となった場合は、違反した内容について、厚生労働省のホームページに企業名とともに掲載される可能性がある
  • ・労働局から刑事告発される可能性がある
  • ・懲役や罰金が科せられる可能性がある

このような事態になれば、取引先からの信頼はもちろん社会的信用も失いかねません。派遣受け入れ企業の担当者は、法令を十分に理解し、高いコンプライアンス意識をもって派遣社員を受け入れることが重要なのです。

5.まとめ

派遣受け入れ企業(派遣先)は、派遣社員の受け入れ時や業務命令時に、法令を遵守することが大切です。労働者派遣法は度重なる改正で、禁止事項は多岐にわたります。
事前面談や個人情報収集の禁止、派遣の禁止業務、3年ルールや日雇い、多重派遣、妊娠出産時の不利益な取り扱いなど最低限の禁止事項は把握しておきましょう。万一、違反していると判断された場合は、企業名の公開や厳しい罰則をうける可能性もありえます。
正社員では問題のない対応も、派遣社員では法令違反になるケースは多々あります。高い意識をもって法令遵守を心がけましょう。

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